カクヨム甲子園SNS騒動に思う

三屋城衣智子

カクヨム甲子園SNS騒動に思う




 カクヨムから一つの作品が作者の手によって消された。




 それは本当に、作者がきちんと納得した上での手段だったのだろうか?


 私には、疑問しか残らなかった。




 ことの起こりは某SNSだ。

 ランキングがNTRという話の設定に席巻せっけんされていたようで、性描写もなかなかに盛り込まれたものが色々あった(外野の主観であり運営がそう判断した訳ではない)ようだ。

 それに憤ったのか、一ユーザーがカクヨム甲子園のランキングをスクショし疑義と共に貼ったらしい。

 貼った側も甲子園参加者だった。


 嫉妬や、正義。ある者は高校生とはかくあれたしと言い、はたまた作法の悪いお祭り好きがよってたかってサンドバッグにし、結果。

 作者の方は謝罪をされ、作品は作者の手によってこのウェブという世界から――消えた。




 ウェブはいつから、北斗の拳のごとき世紀末の無法地帯になったのだろうか。

 きちんとした手順は、どこへいったのだろう?


 載せた側も参加者ということだから成人したとてまだ十代であり、かの人は発展して成熟していく途中の果実だ。

 そこに次への反省と改善を見出せはしても、そこへと乗っかった大人へはいぶかしむ目を向けざるを得ない。




 我々はカクヨムにおいてエンドユーザーだ。

 決して、運営ではない。

 そしてサイトを利用する上できちんと利用方法や規約は存在している。

 違反があれば、通報の仕組みがあり、違反かどうかはユーザーではなくきちんと運営が決めている。

 決定権は、我々ユーザーにはビタ一文ないのである。


 今回の件においては、見つけた人が、手順にのっとり作品右上三点リーダーから飛べる違反報告フォームで粛々しゅくしゅくと運営へと知らせればそれでよかった話であり。

 また題材がどーのこーのという話は、コンテストの審査員ではない我々なのであるし、別段応募規定禁止事項にあるわけでもないNTRにいちゃもんつける立場にもなかったのである。


 そう私は考えながら推移を見守っていた。




 結局、作者の方は謝罪し作品を下ろしたままコンテストの締め日が来てしまい、晒した側も謝罪こそすれ「相手が違反をしたのですから(あなたは悪くない)」とSNSでいい歳した大人に慰められ。次はこうしようとか、相手へのフォローやもっと真っ当な疑義の呈し方をろくろく醸造できぬままのようだった。

 ※ コンテストは▼9月10日(日)18:59まで、とのことで他の締め日と混同していたこと、ここに訂正する。誠に申し訳ございませんでした。

 ※ 重ねて書くが、性描写があろうがNTRがあろうが、運営が定める規定をオーバーしていなければ何の問題もない。そして今回の作品群は一般ユーザーが問題に思っただけで、運営が判断した、という事実はどこにもない。作者の方がSNSの暴言に晒されて自分が悪かったのだと自ら下げただけである。




 我々大人だって間違いは犯す。

 けれど、これまでに体験して来たさまざまなこと、見聞きした話をもってして軌道修正する力を子供よりかは身につけたれ、という姿勢は大事ではないだろうか?

 だのに、あなたは悪くない、と自分と近しい者だからなのか自身が相手の行ってしまった晒すというミスに気付くことができなかったのか。反省し修正しより良く生きる手段を手に入れる僥倖ぎょうこうすら、ミスを肯定するだけの言葉で相手から奪い取ってしまう大人がいたのは、なんともやりきれないものがあった。




 重ねて言うが、今回のことは我々エンドユーザーが横から口出しして決定する権利はない。

 違反だと思えば、報告する権利があるだけだ。




 カクヨム甲子園参加者が違反をする権利も、その違反を通報され運営からお知らせが来ての修正して再掲載できる権利も、騒いだ外野が消し飛ばしてしまった。


 カクヨム甲子園参加者が他の参加者に憤りSNSに晒す権利はなかったし、権利がないことに気づいて通報の仕方を学ぶ権利も、相手に謝罪(謝罪はされている)し作品の再掲載をい願い堂々闘う権利も、騒いだり悪くないさと言うだけの無責任さで奪い取ってしまった。




 この件で残念に思うのは。


 何よりこれは、人が実際に犯した犯罪などではない。

 作品内でのことなのだ。

 架空である。

 その「題材」に「高校生なのだから爽やかでいろ」とまで押し付けるのは、押し付けられた経験がある方ならお分かりだろうが、なかなかに理不尽ではないかと私は考えた。


 手段を間違え、目的さえ押し付けに走った方々においては、一度自身を振り返り悪かったところは何も一ミリたりともなかったのかどうか。

 考えていただけたらと思う。


 ミスはするものである。

 ただそれは、次へと生かさなければもったいない。

 ただただ、それだけの話だ。

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カクヨム甲子園SNS騒動に思う 三屋城衣智子 @katsuji-ichiko

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