流れるような文章で描かれる、繊細なる青春。

文章力が高く、あっと言う間に物語に惹き込まれる語りです。
流れるような文章が非常に読みやすいうえ、少年遙人の心情描写も秀逸です。
遙人は鬱々としていながらも、名も知らない少女に恋をするような、希望の欠片を知らず握り締めているような男の子。そんな遙人が恋する、名も知らぬ電車の君。そして彼に声をかけてくるクラスメイトの少女、月子。

月子が積極的に関わってくることにより、遙人の心は開かれていきます。その過程がとても丁寧で、読者は遙人に寄り添いながら、謎を孕んだ物語を楽しむことができるでしょう。脇の友人たちの恋路も必見です!

少女たちも魅力的に描かれており、かつ、ミステリアス。
相手の気持ちが明確に分からないからこそ、人は想像し、思いやり、寄り添おうとするものなのでしょう。
心の機微を繊細に描き切った青春物語です。

お薦めします!

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