魔法でないのが魔法的。二人で歩くから特別な夜。

深夜お散歩百合、その言葉が相応しい、その言葉からイメージされる美のエッセンスのような物語でした。
夜海さんと主人公は、それぞれ苦しみを抱えながらも、夜のお散歩という行為、二人で眺める一つ一つの事物に支えを見出しながら人生を歩いていく。
綴られる夜の光景がまた美しい。不注意な観察者なら見過ごしてしまいがちな、拙い表現者なら出力できずに文脈に盛り込めない、何気ない物事を情感豊かに、独特の間で表現する。
作者の文章力の高さを伺わせる短編、お見事でした。

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