変な恋愛~逆立ち少女とパンツを守る変態紳士

丸尾裕作

第1話 1日目

とある駅で清藤宮萌花という、変わっている美少女令嬢がいるという噂を聞いた。


本当に美少女だった。

漫画に出てきそうな美少女のような大きなきりっとした瞳、芸能人も真っ青なナイススタイル。胸もほのかなふくらみがあり、手足もすらっとしていて、雪のようで美しい。


そして、さらさらとしたよく手入れされた黒髪ロングヘア。


ただいるだけなのに気品がある清楚系なお嬢様という雰囲気が感じられる。


実際、その異様な雰囲気を間のあたりにすると、誰も話しかけないでいる理由が分かったたが、俺、白王子剣介はそんなことおかまいなしに話しかける。


「何しているの?」


「見て分からないの?」


「分かりますけど………」


清藤宮萌花は噂通り、変わっていた。


本当に美少女だっただけじゃない。


倒立をしているのだ。

スカートをはいている。

しかし、なぜかめくれていないで固定されている。


清藤宮萌花を変わっていないという人間はいないと思う。

ふと思ったことを俺は告げることにする。


「恥ずかしくないの?」


「いろいろ事情があるの!」


頬を膨らませて、それ以上何も聞くなという圧がかかっている気がした。

しかし、俺はそれにもめげず、心に秘めている想いをありのまま言うことにする。


「パンツを見せてください」


こんな不思議な物理現象を前にして、男なら一度は夢見るスカートめくりへのロマンを止めることが俺にはできなかった。


「い・や・で・す!」


なぜか逆立ちをしているのに、スカートをぎゅっと握りしめているジェスチャーをしたかのように見えた。


「じゃあ、パンツを魅せてください」


「なるほど、パンツを魅せるね、面白いわね…って、やるわけないでしょ! バカなの、あんた?」


「僕は本気で見たいんです」


「だ・め・で・す!」


「10万円あげるから、見せてください」


「………。だめ」


「今の間は何だったの? お金に惹かれたの?」


「うっさい、発想がなんかエッチ」


「男でエロくないのはレアだと思うよ」


「いちいちうるさい!」


目をぎらっと光らせ、こちらを牽制してくる。


まるで、人を嫌う猫のような鋭い眼光だ。


「スカートをはいてて、逆さするなんて、パンツ見せる気満々でしょ!」


「そんなわけないでしょ!」


「スカートめくりならぬ、スカートさらし。これはこれでロマンを感じます」


「違うに決まってんでしょ」


俺はそんな怒っている相手にも性欲を隠せない。


「見えないけどね………」


「私の倒立の技術ならはしたない姿はさらさないわ」


萌花さんはふふんと鼻をならしている。


「さっきから言ってる内容は間違いなく、警察待ったなしのセクハラね。まぁ、私は優しいから見逃してあげるけど」


俺にかまっていることより大事なことがあるようである。


「駅員来てますよ」


「まずっ」


そのままパンツを見せずにくるりんとした。


「ちょっ………」


声をかけるまもなく、風のようにその場を走り去り、一瞬で駅のホームから消えた。


「なんでパンツ見えなかったんだろう」


スカートの少女が逆立ちをしているのにパンツが見えないという物理現象の不思議さとパンツを見たいという素直な性欲に嘘をつけないから、こう思っただけである。

駅員さんがやってきた。


「また逃げられたか」


「どうしたんですか?」


「いや、実はね………」


清藤宮萌花の不思議な事情を聞いて、俺はある決意をし、これは俺にしかできない大事な使命だと直観が俺にそう告げた。俺は明日に向けて、とある準備に取りかかる。

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