第3話 3日目

3日目

同じ時間で、同じ場所で倒立をして、またすごく目立っていたのですぐに見つかった。


「萌花さんのパンツは俺が守ります」


「あなたはそれしか言えないの?」


「いろいろと事情はお伺いしたんですよ」


「何をよ?」


逆立ちしたまま、ジト目を向けてくる。


ジト目というのもおかしいが、そう言うしかないと思う。


「萌花さんのお父様にお会いしました!」


「パパに! なんであんたが!」


「実は、駅員さんと会った後、なんやかんやでお父様にお会いしました」


萌花さんの父親は駅の設立責任者であり、なにかと縁があり偉い人らしい。

それ以上の詳しいことはよくわからない。


「もう勝手に人の事情に突っ込んできて、なんなのよ、あんた」


「あなたのパンツを守るもの、名は白王子剣介です」


「そういうことじゃないのよ!」


何か、怒ることを言っただろうか?

言われたことを素直に言っただけである。


「逆立ちをしなければならないんですよね、いろいろ大変ですね」


「余計なお世話よっ!」


「お父様が納得するまでしなければならないんですよね! 駅で」


「そうよ、文句あんの?」


すごく不機嫌そうににらみつけてくる。


「私があってから、私、白王子剣介と会ってから、1か月倒立すればいいということまで交渉させていただき、そういうことでまずは周辺環境を整えさせていただきました」


逆立ちしても痛さを感じないふわふわ高級赤いマット、駅に専門の逆立ちスペースがあっても当然と感じるようなスペースを整えてみた。


「手始めに地面に、駅の飾り付け、および、専用の逆立ちスペースを作らせていただきました。困難な作業でしたが、少し頑張りました」


「無駄に豪華ね!」


逆立ち美少女のためにできるサポートはすべてベストを尽くす。

これがパンツを守るものとしての義務。


「本当はスカートをめくりたい気持ち山々なんですけど」


「煩悩だらけじゃないの!」


「でも、ちょっとモラルとかあるんですよね…」


「今更過ぎるわよ!」


怒られるのも無理もない。

だから、俺は考えた。


「しかるべく形になると見せてもらえるかなぁと思って」


「どうしてそうなんのよ!」


「いたずら風がスカートをめくったり、物理現象が萌花さんに勝ってスカートの中身がさらされたりで」


「アホか!」


「くまさんパンツ、イチゴパンツとかがみられる日がいつ訪れるかと楽しみ過ぎて、毎日いろいろなシチュエーションを想像しています」


「なんで私がそういうパンツをはいていると思ってるのよ、それはそれで屈辱だわ」


萌香さんはもうちょっと大人っぽいパンツをはいているらしい。

ちょっと想像の幅が広がりそうだ。


「あ、別のタイプの最高級クッションあるので違和感があるならこちらでどうぞ」


「あら、どうも」


「いえいえ、お気遣いなく」


萌花さんを手招きすると、そこで逆立ちを始めた。


「!」


すぐに戻った。


「なんで私、あんたの戯れにつきあってるのよ!」


「ノリノリでしたよ」


「そういうのはどうでもいいのよっ」


毎度のごとく、猫が人を嫌うような目つきできりっとにらみつけてくる。


「もうあんたと一緒にいるとあたしのペースが乱れちゃう! もう帰るっ!」


「あ、そうですか、それではお気をつけて!」


「手を振らないで! あんたの知り合いでもガールフレンドでも何でもないわ!」


走り際にそんな声が聞こえた。

やはり、昨日と同じように一瞬で駅を立ち去った。

 まずは自分の計画第一段階はクリアだ。次の第2段階の作業に移るとする。俺は自分のスマホを取り出した。


「あ、もしもし。白王子ですが………」


ネクストミッションスタート!

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