第4話 4日目

4日目

同じ時間で、同じ場所で倒立をして、すごく目立っていたのですぐに見つかった。


「萌花さんのパンツは俺が守ります」


「はいはい、ご苦労さん、勝手にしなさい」


半ば、呆れ気味で放置という様子である。


「SPさん、お願いします」


『かしこまりました』


「私のSPじゃないの! どういうことなの、あなたたち!」


「お嬢様のためと思いましたので、ご了承していただけると…」


「しないわよ!」


萌花さんのSPさんに朝早く来て、駅の飾りつけをさらにしてもらったのだ。

駅周りもおしゃれになり、駅員さんも喜ぶほどのクオリティーにしておいた。


「一人でやるより、大人数が一番だね」


「あなたのその無駄な行動力はなんなのよ! 本当、何者?」


「あなたのパンツを守るもの、名は白王子剣介です」


「そういうことじゃないのよ!」


なんかこの流れは昨日もあった気がする。


「いったいあんたは何をしたの!」


「萌花さんの幸せを願って、頑張りました!」


萌花さんが逆立ちをしても何の問題もない環境を整えること。

それが今の俺が意識していることである。


「にゃあーにゃあー」


白い子猫がいる。


「なんで駅に猫がいるの? そもそも猫いていいの?」


「駅で逆立ちする女の子がいるから猫ぐらいいても不思議ではないと思いまして連れてきました、駅員さんが保護した猫ですよ」


「まぁ確かに猫よりあたしの方が不思議よね………そんな感じで私が毎回ノると思ってんの? 馬鹿にしないでよ!」


「ノリの良さはコミュニケーションにおいて必須技術だと思います」


「………」


逆立ちのまま、猫をじっと見つめる。


白い子猫が表情豊かな萌花さんが気になったのか近づく。


「きゃあー、あたしの顔をぺろぺろしないで!」


「にゃあー、にゃあー」


猫が美少女の顔にすりより、少し恥ずかしそうにしている萌花さんはそれはそれはとても可愛い。


「毛触りがもふもふしてる! そんなになつかないで!」


「にゃーん、にゃーん」


「いいですね、逆立ち美少女と猫、良い光景ですね」


ぱしゃ。

とりあえず、可愛かったので手持ちの一眼レフカメラで写真をとる。


「ちょ、何をとってるのよ!」


「猫みたいで可愛いですよ」


「うるさい!」


「猫みたいってよく言われないですか?」


「はぁ?」


「ツンデレみたいで」


「あたしはツンデレじゃないわよ!」


ツンツンしてて、可愛い。


「良いこと思いついた」


漫画みたいに手をぽんともう片方にぽんと打ち付ける。


「じゃあ、今日は、もう帰るっ!」


「ちょっと、あたしのセリフ!」


俺は萌花さんのように、一瞬で駅を立ち去ることはなく、逆立ち美少女を後にして、準備のために駅を立ち去る。


「駅員とか、そこのギャラリーいるのよ、あたしを放っとく気? 守るつもりじゃないの?」


後ろから萌花さんの声が聞こえるが、それについては何の問題もない。


『それは我々が、剣介様からいろいろとお伺いしております』


「ちょっと、あんたたち、何のつもり!」


SPさんたちに話を何すればいいか、すべて伝えてあるからだ。

明日のために、この場を立ち去ることにする。


「今日は眠れないな」


俺は自分のやる作業の多さを考えるとそんな独り言が思わず口に出てしまった。しかし、俺は萌花さんのパンツを守る者。そんな想いを胸にして、第3段階の作業へと移行することにした。


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