第5話 5日目


同じ時間で、同じ場所で倒立をして、すごく目立っていたのですぐに見つかった。


昨日より、すごくたくさんのギャラリーがいてもすぐに分かる。


「萌花さんのパンツは俺が守ります」


「また、それ? 勝手にしなさい」


「勝手にします! パンツを見せていただくその日まで」


「それより、ギャラリー多くない? なんでなの?」


俺の真摯な思いをスルーされたが、聞かれたことを答えるのは人間のマナーである。


「あー、私が逆立ち美少女と猫というタイトルで写真集を作っておき、気まぐれに謎の逆立ち美少女とツイッター投稿したら、一瞬でバズったようでして」


「なんてことしてくれてんのよ!」


どんな写真を撮ってもなぜか可愛いのでなんか自慢したくなったわけので、萌花さんのお父様に見せたら、こんな可愛い娘の写真を世間が知らないのをバカげているとおっしゃていたので写真集を作っただけである。


「御見学いただきたい方はこちらの席にお並びください!」


 カシャカシャ。

 SPさんの誘導のおかげでギャラリーの行列が規則正しく並んでいる。


「ご料金のお支払いはこちらでお願いします!」


「あんたがめつわよ!」


一人100円で写真okといういささか高めの商売をしている。

パシャパシャ!

それでも写真を撮る人が出てくるぐらいには萌花さんは美少女である。


「パンツ見たさに写真とる人いますけどね、見えませんもんね」


「当然よ!」


「リアル絶対領域ですね」


「なんかその言い方嫌」


アヒル口にむっとして、あざといが、でも可愛い萌花さん。


「はい、チーズ」


「Yeah!」


「あー、笑顔をカメラに見せるだなんてえらいですね」


「し、仕方ないじゃないの! ファンサービスよ」


「少し抜けてるところもあって、そんなところも可愛いです」


「あんた、バカにしてない?」


少し怪訝そうな目でこちらを見てくる。


「にゃあにゃあ」

 昨日、白猫が萌花さんによってくる。


「分かった、分かった、にゃんすけ、おとなしくしててね」


「名前つけたんですか?」


「わ、わ、わるい?」


「かわいがってるなぁと思いまして」


「なついていくるんだから、むげにできないでしょ」


猫になすがままにぺろぺろとなめられても、昨日と違って何もしない。

パシャパシャ。


「ほほえましい光景ですね」


「もうどうにでもなれって感じするわ、あんたは何を考えてるのよ」


「あなたのパンツを守りたいだけですよ」


それは本当である。


「はぁ、そう言うと思ったわ、私だって、駅で逆立ちぐらいやるなんて何ってことないわってパパに意地張ってるのも悪いけど、だいぶおおごとになったわ。まったくあんたとパパは何を企んでるのか、よくわかんないし」


「さぁ何でしょうね」


萌花さんのお父様ととある約束のために、ただやるべき準備をやっているだけだが、今、萌花さんに言うわけにはいかない。


「もったいぶらないで!」


「ひ・み・つ」


「きもい!」


「あら、怒りましたか?」


「怒ってない!」


「可愛いですね」


「もう帰るっ!」


毎度のごとくのように一瞬で萌花さんは美しいお姿で走り去った。


『わぁー、本当に走るんだ』


俺の予想以上に萌花さん人気はやばかった。俺の写真集作りとツイッターでの宣伝といった自分のやりたいことが自分の期待以上の成果が出ていることを考えたので家に帰ることにした。SPさんの協力もあるため、自分のやることは少し減っていて、楽になっている。

家に帰ると、Lineに見慣れない通知が入っていた。

それを見て、また眠れないなと思った。

予定よりも早く第4段階へと移行することにした。



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