第8話 14日目

14日目

今日も同じ時間で、同じ場所で倒立をして、すごく目立っていたのですぐに見つかった。

「萌花さんのパンツは俺が守ります」

「まったく警察官、ナース服、アニメのコスプレ、キャビンアテンダント、体操服、なんで私は着せ替え人形になってるのよ!」

「お父様のご命令です! 人気ですよ、写真集第2版『逆さコスプレと猫』」

「ぐぬぬ!」

お父様のおかげで素晴らしい萌花さんのお姿を拝めるから俺はうれしい。

「パパが私を挫折させようたって、そうさせないんだから!」

「さすがに水着はだめなんですね」

スクール水着、ビキニなど様々なタイプを一応用意はしてあっただけに実に残念だ。

「当たり前でしょ!」

ぱしゃぱしゃ。

わぁわぁ。

ざわざわ。

「それにしたって、ずいぶんなギャラリーね、こんな短期間でいろいろやってくれたわね」

ギャラリーの中、SPさんがいろいろ声を上げていた。

「逆さまんじゅういかがっすか?」

「逆さ美少女旅行記いかがっすか?」

「逆さアクセサリーいかがっすか?」

ギャラリーが増えているので、SPさんが屋台をしていて、ずいぶん繁盛していている。

「ぷにゃあ」

マスコットもいたりしている。

「あれはなんなの?」

「逆さキャットです」

マスコットのことを萌花さんは知らないらしい。

この駅の白猫と逆さ美少女こと萌花さんを参考に駅長さんが思いついたモノであり、大人気でゆるキャラコンテストにでも出るんじゃないかと特に若い女性の間で話題沸騰中。

「なんなのよ、微妙に可愛くないわね、にゃんすけの方がましよ」

「にゃご」

にゃんすけはすっかり萌花さんになついたのか、今日も近くでごろごろと喉を鳴らしている。

「あたしはこんなに注目されるようなことした?」

「私が宣伝しました」

「やっぱり、剣介ね、ずいぶんおおごとじゃないの!あたしは売り物じゃないわよ!」

「もちろんです、俺の中でのトップアイドルです」

「アイドル…それは悪くないわね」

萌花さんはまんざらでもないような様子。

「ステーションアイドルなんですから当然ですよ」

「何よ、それ! 初めて聞いたわ!」

現在、ツイッターでステーションアイドルと逆さキャットで話題沸騰中、ソースは俺、白王子剣介のアピールによるモノだ。

「あたし、注目されるのは慣れてはいるけど、ここまでくるとさすがに………」

これは萌花さんのお父様さんとの約束を無事達成できそうだとうれしさが出てきた。

「べつにあたしは気にしないけど、ずいぶんなことになってきたわ」

「あなたが可愛いんですよ」

「はぁ、あんたも懲りないわね、疲れないの?」

「萌花さんの可愛さをそばで垣間見れて幸せです」

「ふぅーん、本当変ね、剣介」

「お互い様ですよ」

「そうね、否定するのも疲れたわ」

萌花さんは達観しつつ、つんとすました様子だった。

すとん。

「もう帰るわ」

そうして、いつものように一瞬で萌花さんは走り去っていった。

ステーションアイドル、ゆるキャラ、逆さグッズなど駅の活気をさらにお父様と協力して、自分が主導となっていろいろなアイディアを形にしていった。

その後、2週間も代わる代わる服を差し入れ、ギャラリーも増加していく駅の環境を管理していくなど慌ただしい日々を送り、逆立ち最終日まで日々が過ぎていった。

 そして、俺の計画の最終段階までやってきた。


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