ギターが恋人の男子高生には現実の恋人なんてできない(と思っていた)

放課後、軽音楽部の部室は静かでただ一人ギターを弾いていた。
今から約1ヶ月前に高校へ入学した澤村健太郎は独自の世界に浸りながら、ギターの弦を優しく撫で心地よい余韻を部屋に広げている。

ギターを始めたのは、小さな頃から音楽に触れていたからである。幼い頃、健太郎は音楽好きな父親によく影響を受けていた。

ある日、健太郎は父親の部屋で眠っているギターを見つけ、興味津々で弾いてみると、美しい音色が響き渡った。同時に健太郎はギターの魅力に取り憑かれたような感覚に包まれた。

元々内向的であった健太郎はギターを弾くことで自分自身を表現する喜びを見出し、次第に独学で技術を磨いていった。健太郎にとってギターは自分の感情を表に出すことが出来る大切な物なのである。
それから独学で学ぶこと約6年、無事受験を終え…続きを読む