第2話:「意外な邂逅」

健太郎とさくらは軽音楽部で一緒にバンドを組むことを決めた。


二人は部室のドアを開けて外に出ると、バンドメンバーを募集している掲示板が目に入った。


「(バンドとしてライブをするならほかのメンバーも探さないとな) さくらさん、ちょっと掲示板見てみませんか。」


「そうですね!素敵な仲間が見つかるといいなぁ」


二人は掲示板に貼られたチラシを眺め始めた。すると、ある人物に目が留まった。


「この人なんだか見覚えがあるような...」


「本当だ!新入生オリエンテーションで一緒だった人じゃないですか?名前は...石川直人って書いてあります。」


「ああ、確かにそうだった。あの時は話したことはなかったけど、なんだか印象的な人だったな。」


話は入学時に遡るが、健太郎とさくらは新入生オリエンテーションで直人を目にした。人前で堂々と話す姿が印象的で、自分の意見や考えを率直に表現できる人物、分かりやすく例えるとリーダー的な存在だ。


当時、グループに分かれ(内容は忘れたが)ディスカッションを行い、各グループで代表が発表をした。そこで直人の発表の様子を見てそんな印象を持ったわけだ。



「(僕もあんな風に素直に気持ちを表現できたら...)」


「もしかしたら直人さんも軽音楽部に興味を持っているかもしれませんね。連絡してみましょうか?...澤村くん?」


「...っとごめん。いいアイデアだと思うよ。石川君が入ってくれるとしたら、バンドがもっと盛り上がるかもしれないね」


健太郎とさくらは迷わず石川直人に連絡を取ることに決めた。彼らは部活のグループLINEから連絡先を探し、メッセージを送った。



「石川くん、急な連絡ごめんなさい。実は私がボーカル、澤村君がギターでバンドを始めたいと思っています!そこで石川君にドラムとして加入してほしいと二人で相談していたんだけど、検討してみてもらえませんか?」


メッセージを送った後、部室は静かな緊張感に包まれ、返信を待つ間の健太郎とさくらの心はドキドキと高鳴ってた。

すると、直人からの返信が届いた。



「藤田さん、澤村くん、メッセージありがとう。僕で良ければぜひ参加させてください!」


それを見た瞬間、さくらと健太郎は声を上げて喜んだ。


「良かったです!石川くんが参加してくれるそうです!」


さくらの声は興奮でいっぱいで、健太郎も同じく笑顔を見せた。


「ほんとに良かった!あとはベースだけだね!早速明日3人で集まって話そう!」


部室の中は二人の笑顔と歓声で満たされ、新たなバンドメンバーへの期待感でいっぱいになった。

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