ギターが恋人の男子高生には現実の恋人なんてできない(と思っていた)

エルんぐ

第1話:「音色の出会い」

突然の提案だった。


僕は驚きつつも、さくらのリクエストに応えるようにギターを手に取る。


「分かったよ。ちなみにさくらさんはどんな曲が好き?」


「んー。明るい曲も好きなんですけど、バラードや感動的な曲の方が好きなんです!感情を込めて歌えるので」


「バラード系か、それならこの曲はどう?」


「あ!この曲好きです!この間Nステに出てるの見てました」


僕が提示したのは今年人気の曲で、バンドではありながら、恋愛のバラードソングだ。そして先日最終回をむかえ、かなり話題となったドラマの主題歌でもあるため、聴いたことのある人は多いんじゃないかと思う。


「それは良かった。そしたらちょっとコードを調べるね」


スマホで曲のコードを調べ、準備を整えた。

そしてギターの弦を優しく撫でながら、美しいメロディが響き渡り、藤田さんが僕の演奏に合わせ歌声を披露し始める。



「(本当に上手いな)」



彼女の歌声は繊細で心を揺さぶり、僕はその歌声に引き込まれていく。


さくらの声空間を満たし、健太郎のギターの音色と調和しながら美しいハーモニーを奏でた。


二人は音楽に身を委ねながら、部室の中で時間を忘れてしまった。




「すごく良かった...。感動したよ」


「ありがとうございます!でも、健太郎くんのギターも本当に素敵でした。良かったらまたギターを弾いてください!」


「うん、僕でよければ」


そう答えると彼女は嬉しそうに笑いながら、何か思いついたようだった。


「ねえ、澤村くん。私たち、軽音楽部で一緒にバンドを組みませんか?」


「それは...いい考えだと思う。でも、僕はまだ新しく入ったばかりで、他の先輩達や同級生にまだ知り合いもいないし...」


「大丈夫ですよ!私たちが一緒にやれば、他のみんなもきっと一緒にやりたいと思ってくれるはずですし、新しい仲間を作るいいきっかけになると思いませんか?」


僕は彼女の言葉に心を動かされる。


「そうだね、確かにその通りかも。それじゃあ、やってみようか」


そうして二人は握手を交わし、共に音楽を創り出すことを決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る