第4話:「調和の歩み」

セッションが終わり、部室の中には演奏の余韻がいつまでも響き渡っていた。

三人はそれぞれ楽器を片付けながら語った。




健太郎が深呼吸して、


「やっぱりバンドって楽しい。みんなと一緒に演奏できるってのは、特別な感じがする」


「ですね、一人で歌うのも楽しいですけど、みんなで音を合わせるときのワクワク感はほんとうに最高だと思います!」


と、さくらもニコッとしながら話す。


直人はさくらに対して緊張気味な様子だった。


「うん、澤村くんと藤田さんの演奏を聞いて、俺ももっと上手くなりたいって強く思った。このバンドでもっと色んな曲を演奏していきたい」



健太郎は直人の意気込みを見て少し笑みを浮かべる。


「だけどさ、石川くん。上達も大事だけど、もっと大事なのは楽しむことだと思うよ。楽しみながらやっていこう」


さくらも同意して、


「澤村くんの言うとおりですよ。みんなが楽しくできればもっと素敵な演奏をできますよ!」と続けた。


直人は少し驚いたが、すぐに笑って頷く。


「そうだよね、楽しむことが一番。少し肩に力が入ってたかもしれないな」




練習が終わり、彼らは部室を後にした。

健太郎はギターケースを肩に掛け、さくらと直人もそれぞれ学校の門を出た。



健太郎は日が落ちてゆく空を見上げながら、


「明日からもまたよろしくね」と声を掛けた。


さくらは元気よく頷き、


「もちろんです!明日も楽しみです!」と返す。


直人も笑顔で、


「うん、今日の演奏すごく楽しかった。またすぐにやりたい気分だよ」と言った。



そうして彼らはそれぞれの家路についた。

帰り道ではそれぞれが今日の練習を思い出し、また新たな音楽を作り出す楽しみに心を躍らせていた。





三人:「(...曲、作りたいな)」




健太郎は空に浮かぶ星々を眺めながら、新しい曲のメロディを考えていた。


さくらは風に揺れる木々の葉音に耳を傾け、それを歌詞のインスピレーションにしようと思っていた。


直人は足元の道の石を蹴りながら、それをリズムパターンに変換していた。




それぞれが自分だけの方法で音楽を感じ、想像し、それぞれの心の中には共通の思いがあった。

それは、音楽を通じて結ばれた深い絆と、一緒に新たな音楽を共有していく新たな一歩だった。

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