しとしとと雨は降り続き、やがて人の業が浮かび上がる
- ★★★ Excellent!!!
どの学校にでもあるかも知れない七不思議。
しかし、全寮制の月波見学園のものは一風変わったものだった。
――七不思議を調べれば呪われ、七つ目を知れば、死ぬ。
月波見学園の生徒、佐々木実鷹(ささき・さねたか)は、過去のある事件からその呪いを信じていたが、けれど、それは姫烏頭蒼雪(ひめうず・そうせつ)との出会いによって徐々に崩れていくのだった。
果たして七不思議とはなんなのか、竹村竣はなぜ死んだのか。
最後まで見届ける頃には、この学園を取り巻く人の業を間近に目撃していることだろう。
さて、学園ミステリーである本作。
物語はある雨の日、竹村竣が階段の下で死んでいたことから動き出します。
そこから七不思議とはなんなのか、死の真相はなんであるのか、雰囲気のある重厚な文章で、徐々に詳らかにされていその様は、実鷹の心情描写も相まって、読者は自然と先を、もっと先をと事件の真相を知るべく読み進めたくなると思います。
また、作中では能がキーワードになっており、蒼雪が語る能の話を知っている、知らなければ調べると、いっそう推理を楽しめるはずです。
是非、登場人物たちと一緒になって、ペンとメモ用紙を相棒に、この七不思議の謎を解き明かしてみてください。
たとえ自分の予想が外れたとしてもいいのです。
推理をする行為そのものが楽しいのですから。