倫敦　時折、春　〜君に辿りつくための物語〜

伊藤　明継と紅隆の恋心を通して、初恋の儚さを描いた物語。

　天都《てんと》と云う都会で、同居をしている伊藤　明継《いとう あきつぐ》と紅《こう》。
　二人とも男性であり、明継・二十六歳、紅・十四歳。二人の年の差は、十二歳。
端から見ると何の接点も無く、暮らしている様
に見えるが、三年前から、明継の家に紅が住む様になった。
紅はこの部屋から一歩も出た事がなく、日々を明継との繋がりだけで生きてきた。

　初め明継は紅を元の地位に戻す為、宮廷に帰そうと第一皇子の佐波に相談するが、強く攫ったのを攻められ紅の幸せを考え出す。

　外界との接触に慣らす為、部屋から出た明継と紅は開けた公園に向かう。
紅が木蓮に気を取られている時に、節と言う女性に明継が話掛けられる。紅の事を知っている節に動揺し、…続きを読む