いまひとたびの、記憶に残る饗応を。

『死後も自分の存在を残したい』。
それは生き物であるがゆえの当然の欲求。
素直な、そして凡庸な人間であれば、ストレートに子孫を残そうとするのだろう。
しかし、それ以外の方法を求める者もいる。

本作は、そういった通常とは異なる欲求を持ったフジミヤなる人物を中心に展開していく物語群である。
読了後、一切の肉を受け付けなくなるか。
あるいは、フジミヤの肉を求めてありもしない精肉店を目指すか。
きっとふたつにひとつだろう。
私もお腹が空いてきた。近所に美味しい肉を食わせてくれる人がいればよいのだが……