叙情的で美しくも恐ろしい掌編を数多く
書かれている作者の、様々な【隙間】を
テーマにした魅力的な短編集である。
小さな昆虫や路傍の植物、そして彼岸と
此岸とを隔てる陌間から覗く 妖しい
モノたち。それらをも余す所なく捉える
作者の、今回の短編集。今までの作品とは
又一味違った魅力を感じる事だろう。
不定期に更新される短い物語に、如何に
この世は隙間だらけなのかを思い知る。
都会の片隅で、そして夜の帷が降りた
後で。ほんの少しの隙間の中に、様々な
妖しいモノ達が蠕いている。
それを淡々と潔く切り取っては短編へと
貼ってゆく。そこに作者の、所謂
ダンディズム を感じるのだ。