我が国の出版市場の推移
我が国の出版市場は1996年の2兆6564億円をピークに2018年まで下落し続けていました。2018年の出版市場額は1兆5400億円です。その後電子漫画の好調により2021年には1兆6742億円まで回復しました。2023年は1兆5963億円です。しかし紙媒体出版市場に限ると2023年で1兆612億円(前年比680億円のマイナス)ですのでまもなく(2024年頃に)1兆円市場を割り込む事、電子書籍の約9割(90.2%)が漫画ということもあり紙媒体分も合わせると全出版物の約半分が2025年頃に漫画・コミックスになる見込みです。つまり漫画・コミックスと児童書以外の分野が全て出版不況のままという事です。電子書籍シェアは2023年現在で33.5%と2023年にはいよいよシェア3分1超となりました。
・1996年当時雑誌(紙媒体)だけで1兆5633億円市場だったものが4418億円
・1996年当時書籍(紙媒体)だけで1兆0931億円市場だったものが6194億円
という状態です。雑誌市場は電子雑誌市場の81億円(電子書籍のシェア1.5%)分をも入れても約30年で市場額の約4分3が吹き飛びました。
逆に電子書籍は2014年に1144億円市場だったものが2023年には5351億円市場になったのですが電子書籍は漫画・コミックス以外の本はほぼ読まれていない状況です。
・漫画・コミックス市場額(紙媒体コミックス+紙媒体コミック誌+電子コミックの合計額)は2023年で6937億円。出版市場全体の43.5%を占めシェア率史上最高達成。漫画・コミックス市場の第一ピークとなる1995年の5884億円を4年連続で超えて過去最大額を更新。1996年は5847億円なので1996年当時の漫画・コミックス市場シェアは22.0%だったことを考えるとシェア率ではほぼ倍増という結果となった。
次に返本率ですがここ25年ずっと約40%前後で推移しており1000冊を書店に並べても400冊は取次に返本されている状況です。おかげで1980年代には2万5000店を超えていた書店が、今や約3分の1の店舗数です。
まもなく紙媒体の書籍市場が半減するという事を考えると逆にラノベ市場は2016年が第二ピーク年だったという大健闘市場という見方も出来ますし2004年から2022年まで170~300億市場というニッチ市場に過ぎないという見方も出来ます。しかしこれだけ紙媒体書籍市場が激減し2025年頃に半減する見込みである以上ラノベ市場もこの「半減」の流れに逆らうことが出来ずに2018年から総崩れになり同様に市場半減見込みとなったというのが真相なのかもしれませんね。
紙媒体出版市場で唯一と言ってもいいほど伸びている市場があります。児童書市場です。なんとピーク年は2002年で1100億円市場です。別名「ハリーポッター特需」といい児童書市場のピークは全出版市場ピークの6年後ろにずれ込みました。ハリーポッターシリーズの威力は半端ないですね。でもその後は確かに少子化の影響で徐々に減り児童書市場は2013年にはとうとう800億円市場を割り込みます。ですが反転し2015年には800億円台の市場額に回復し2021年には967億円市場となりました。いわゆるコロナ禍による絵本特需です。さすがに2022年は923億円市場と微減し2023年は863億円(2021年比で100億円減)と再び低調となりました。それでも7年のラノベ市場の減った額と児童書市場の推移を比べてみてください。20億円程度の誤差はありますが見事に符合します。よってやはりラノベそのものを見放した中学生は児童書に流れ込んだというのが「正解」なような気が私はいたします。
だからこそこの評論のタイトルは出版市場額を根拠にこういうタイトルになっているのです。
『若者のライトノベル離れ』と。
=真・END=
若者のライトノベル離れ 約10年で市場半減のショック らんた @lantan2024
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