黒く妖しく輝く星の輝きよ。


 死んだ彼はケダモノだった。犯れることなら大体犯ったような人だった。
 彼を喪って私の生活もぼろぼろと崩れていった。
 死の真相を探るうちに見えてくるのは、破滅への抗いがたい魅力であった。



 この作品は非常に黒い。
 テーマ性とか所業がではなく、表層のみに留まらない破綻者の描写が黒い。
 傷んだ食道にテキーラを流し込むかのような突き抜けた痛快がある。

 タイトルにもある通り、この作品はケダモノたちの日常、それこそ手慰みのようなものなのだろう。
 その中でどれだけ破滅や悲鳴やロマンスが生まれようとも、それは彼らにとっては慣れた雑踏でしかない。

 読んだ私はそんな雑踏に迷い込んだ旅行客と言ったところだろう。
 周りを見渡し、立ち竦むしかなかった。