身体に刻まれた恐怖の染み。


 忌まわしき過去、怯える現在、そして闇の底のような未来。

 恐怖の癒えぬ傷跡を描いたホラー作品。



 恐怖症。
 本来であれば人体の防衛機構が過剰に反応し、世界に偏執的な恐怖を抱いてしまう状態を指すが、
 この作品では、むしろこの世界のバグとも呼べるものが、対象者に過剰な「刺激」を与え、偏執的な精神に改竄していくというべきだろう。

 理不尽の描き方が卓越しており、わなわなと無力に震えるしかないといった読後感であった。