創作は矛盾に満ちている。


 あなたは自分の痰の味を知っているか。

 自分のが嫌なら他人が吐いた痰の味でも良い。

 知りたくもないものを嬉々として知りに行く狂いっぷりはあるか。

 それが痰カスを読んで私が思った感想。



 歯に衣を着せぬ言い回しで、各ジャンルの分析をしたり、
 私のような「おっかなびっくり周りの様子をうかがう」人間にぶっ刺さる話をしています。

 小説書きの真似事をすると思うのです。創作とはなんと度し難いものかと。

 馬鹿と天才は紙一重なんて話もありますが、ものを作るとき、自分は世界一の天才と思うと同時に、世界一の愚か者であるとも思う。
 ものを出すとすーっとその思い上がりは消えて、凡人というホームへと帰っていく。
 理性と感情、楽観と悲観、勤勉と怠惰、高尚と低俗。
 それぞれが波のように押し寄せ、一時的に自分を見失う。 

 矛盾があっては、仕事になりません。一定の態度で安定していることが社会活動における通念でしょう。
 ましてや矛盾に攫われて我を失うなんて以てのほかのはず。

 ですが創作ではその矛盾こそを表現しなくてはならない。誰もが避けるか軽視するものをわざわざ、世間側の立場にもなりながら形にする。
 歪な形をしたピース達を、時には力押しで、時には端を削ってまではめていく。おそらく何十、何百と奇声を上げながら。

 創作の持つ後ろ暗い側面も含めて、知りたい方にオススメです。