人間至上世界への挑戦。


 人間が支配する現代世界。
 数が少なく労働体系にも順応できないリザードマンは、劣悪な扱いを受けていた。
 人間と対等の立場、正社員への登用を目指して、田中はあがき続ける。



 リザードマンが社会に進出、労働しているという設定からして驚きだが、
 何と言ってもその文章の渋さに唸らされる。
 社会人としての喜びや悲しみ、世間への悟りが伝わってくる。くたくたになってそうなシャツやスーツが見えてくる。

 さぞかし特徴的であろうリザードマンの後ろ姿に向けて、
「田中さん……」と呼びかけたくなる一作。