壮き王とか弱き乙女、そして小ずるいホラ吹き

竜の王が期せずして出会った、かき消えそうな花の娘。
強いがゆえに孤独だった竜は、やさしく無垢な花と言葉をかわすうちに、少しずつ変わってゆく。
しかし……。

対極にある二人のかかわりから始まる物語というテーマの描きかたも見事ながら、そこに一匹のトリックスターを噛ませたことで、ほのかに塩辛い味わいが出ています。
まさに「三題噺」のお題を十分に活用した短編といえるでしょう。
読み終えた後は、洞穴の闇に咲く白銀のいろに、おもわず目がにじむかも知れません。

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