夏休みに最適な知的冒険エッセイ

 この連載にはわかりやすい物語はありません。わたしたちが数と呼んでいるものの正体を巡る知的な冒険です。

 とても短くやや駆け足なところを除けば、これを読むことによって小中学生がドリルなどで解いている数や計算の世界のむこう側へとたどり着けます。
 本編は数学の話題としてはやや珍しいサピア=ウォーフの仮説にも言及しています。これは知的冒険をしてきた大人ではやや常識の範疇ですが、そうした世界の見方を伝えている点はすごく有意義な時間であると感じます。

 夏休みを迎えた子どもも、かつて子どもだった大人も、ふたたび数の世界が微笑んでくれるに違いないエッセイ。すべては「構造である」というものの面白さ、不思議さ、驚きに収束していき、間違いなくあなたに知的興奮をもたらすでしょう。