やさしい~
情景と心を詠むのが短歌なら、これはみごとな歌集だと言えるでしょう。三十一文字がちらりと垣間見せてくれる、その暗澹たる背景と心理。覗くだけで踏みとどまるべきか、小窓のむこうの全貌を目にしたいと望むべきか……。
短歌の世界にはこういうアングラな世界を前面に出している短歌が人気になることがある。有名な歌人では寺山修司と春日井健。犯罪と短歌って相性がいい。死刑囚の短歌もあるのは57577という字数がその複雑な心情に託せるかだろう。本作を読めばダークな短歌が待っている。
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