第9話 ADHD
ASDと診断され、その二次障害として鬱障害を発症していた私。過去を振り返ると躁状態(気分が異常に高まる)があったことを踏まえ、双極性障害と診断された。鬱と躁を交互に繰り返す障害だ。
服薬治療をしていたのだったが、飲み忘れが多発していたことに違和感を抱いた主治医がもう一度検査を行おうと言ってきた。その時点でなんとなく察しがついた。
小さな頃から片付けができなかった私。得意不得意の差が激しかった私。忘れっぽく、何度注意されても治らなかった私。ケアレスミスが多く、何度も同じところで躓いた私。
障害には興味があって何回も調べてた。だから自分の特徴からなんとなくわかってはいたのだ。中学の時からずっと……。
「検査、してください」
そうして検査をし、私は二度目の診断を受けた。
「ADHDの傾向が極めて高いです」
予想通りの答えが返ってきた。
ADHD。またの名を、注意欠如多動症という。注意力の無さ、じっとしていられず動いてしまうなどといった症状だ。また、上に挙げた片付けができないなどといった特性も症状の一つだった。
これで私の障害は、ASD、ADHD、双極性障害の三つになった。何度も薬を調整し、バイト先と相談しながら少しずつ症状が緩和していく兆候が見られた。
そこで高校にもう一度通い直そうという意見が、母親との会話の中で出た。当然、未だ人とのコミュニケーションに不安はあったし、発達障害は治るものではない。また同じことが起こったらと思うと不安で堪らなかった。
でも高卒の資格を取った方が今後の就職のためになるだろうということで私は通信の高校に、一年生として入学した。
十七になる春だった。
初登校の日、私は緊張しながら電車に揺られる。
「怖いな……。ここで降りちゃおうかな」
『大丈夫だよ、きっと大丈夫』
何度くじけても寄り添うような言葉をかけてくれるみーちゃんが、私は大好きだった。
ねぇ、少しくらい甘えても……いいよね。その柔らかな言葉に。
全てを頼っていた。甘い言葉をかけてくれる彼女に。でも、本当はそれじゃだめだったんだ。
私は彼女に甘えるばかり、彼女の言葉の真意も、気持ちも、自分の気持ちさえも、見えなくなってしまっていたのだった。
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