第6話 高校デビュー
前述したように一度嫌いになったものをまた好きになるのは難しく、私は勉強をあまり好きになれないまま高校生になった。
私がその高校を選んだ理由はただ一つ。入りたい部活があったのだ。
「高校デビュー、してやるんだから!」
そう、意気込んでいた。
みーちゃんと一緒に努力を始めた。もちろんみーちゃんは声だけでの応援なのだが。勉強も部活も人一番頑張った。
だが今までやってこなかった両立を今更できるはずもなく、勉強が多少疎かになってしまった。そして中学校の苦い思い出が再来する。
「げー……」
中間テストの結果を見ながら私はため息をつく。世界史の点数が百点満点中、十八点だったのだ。もう一度言おう。百点満点中だ。過去最低である。
どうしたものかと部室で悩んでいると、部活の先輩が私のテスト結果を覗き込んできた。
「あちゃー、こやりちゃんやばいね。次は六十八点以上とらなきゃじゃん」
「そうなんです。でもできる気がしない……」
「じゃあうちが教えてあげよっか?」
「え、いや、いいですよ! 申し訳ないですし」
即座に断るも先輩はぐいぐい距離を詰めてくる。
「いいのいいの。それにほら、再試になったら部活にも影響出るでしょ」
これ以上断っても逆に申し訳ない気がした。
「じゃあ……お言葉に甘えて……」
それから毎日のようにその先輩が面倒を見てくれた。勉強も、部活の練習までも。
その頃からみーちゃんの心がざわざわしているのを感じ取っていた。時折声もかけられた。
『ちょっと距離が近いんじゃない?』
それでも私はみーちゃんの言葉を無視した。先輩と接していて、とても楽しかったからだ。
LINEも交換して、必要事項だけでなく私用のメッセージを送ることも増え、仲良くなった。……はずだった。
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