第5話:冥界の入り口。

交通事故にあった翔太郎の魂は冥界の入り口にひかっかっていた。


守護天使と言えど、瞬時の出来事には対処できない時もある。


アリエラが言った。


「人はよく不慮の事故で亡くなるって場合がありますけど、 そういう時は

天使が、守れなかったり、そばにいなかった時です」

「私は、あなたのそばにいたのに守れませんでした」


「そうか・・・でも君のせいじゃないよ、僕が不注意だっただけだから」


「これから、どうなるんだろう・・・僕は・・・」


そう言って翔太郎は何もない無機質な世界を見渡した。

見ると遠くに団体の人の列を発見した。


「あ、あそこに行く人たちは何?」


遠くに見える人々は、激ウマラーメン屋の客のように ぞろぞろと長い行列をなして前進していた。


「あの人たちは、すでにお亡くなりになった人たちの魂です」

「あなたは不慮の事故でなくなりましたが、まだ寿命ではありません」

「だから、まだ助けられるかもしれません」


「現世に肉体が残っていれば蘇生できることがあるそうです・・・」

「あなたの体は緊急で病院へ運ばれましたが、今は昏睡状態です、 あなたは車に

はねられた衝撃で魂だけが肉体から離脱したようですね」


「完全に死亡してるわけではありません」

「だから魂が冥界の入り口で彷徨ってるんです」


「ここに魂が止まってるうちに、あなたの魂を体に戻します」


「戻すって・・・どうやって」


「私にはその方法は分かりませんが、そう言うことに詳しい人を知っています、

今から、その人のところに行ってきます」

「翔太郎はどこにも行かずにここでじっと待っててくださいね」


「僕も一緒に行くってわけにはいかないの?」


「魂はここからは出られません」

「なるべく早く戻ってきますね」

「がんばって翔太郎・・・きっと助けます」


「神に誓って・・・あ、私の愛にかけて・・・」


そう言ってアリエラは消えた。


「私の愛にかけて?・・・」

「どさくさに紛れて、アリエラ、今そう言ったよな・・・」


その意味深な言葉の意味は?

アリエラが去ってしまったので翔太郎は、今はその言葉の真意を確かめる

ことはできなかったが


「私の愛にかけて・・・」


その言葉が気にかかってしょうがなかった。


つづく。



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