第2話:アリエラ。

翔太郎の家に、見たこともない、会ったこともない少女が現れた。

そして自分は、あなたの「守護天使」だって言う。


「あなたが今日まで生きてこられたのは私が守っていたからです」

「誰にでも守護天使はついています」

「善人であろうと罪人であろうと、誰にでも・・・」


「で、私の担当があなただったわけです」


「担当って・・・うさぎの飼育係みたいに言うんだね」


「たまに私が、あなたのそばにいなくて、守れない時もありましたけど」

「危ないって時もあったでしょ、死ぬかもしれないって・・・」

「それ、私がでかけていた時です」


「あっさり言うね・・・」


「そんなわけで、私があなたの一生の守護天使です」

「あなたがこの世を去るまで見守っていくのが私の役目」

「だから受け入れてくださいね」


「受け入れるも受け入れないも・・・」

「僕に選択肢はないじゃないか」

「これが現実なんだろ?・・・こうして君が目の前にいるんだし」


「守護天使って選べたりするの?」


「いいえ」


「押しかけか〜」


「なんです?、押しかけって・・・わざわざ天国から来てあげてるんです」


「僕に選ぶ権利はないってことだろ?」


「私ではご不満ですか?」


「いやいや、とんでもない・・・どっちかって言うと君は僕のタイプだし・・・」

「って言うか君が見えてるからこんなこと言ってるわけだし」


「みんながみんな・・・その守護天使?が見えてるわけじゃないんだろ?」


「一般的には私は誰にも見えません・・・って言うか、見えなくしてるだけです」


「なんで?」


「いろいろややこしいことになるので・・・・」

「たとえば地球上の総人口にそれぞれ守護天使はついていて、それが全部 実態化し人間違いしたり、ごちゃごちゃしてややこしくなるでしょ」

「だから見えないほうがいいんです」


「その理屈はよく分からないな・・・」

「ところで僕は君に触れることはできないの?」


「触れることはできますよ、私が実体化してる時はですけど」


「めんどくさいんだね」


「いろいろややこしいことになるので・・・」


「答えるのが、めんどうな時は全部、それで済ますつもりなんだ・・・」


「私がなにもしていないのに、あなたに私が見えるのは、あなたのほうに

問題があるからなんでしょう」


「問題って・・・」

「そこは特殊能力とかって言ってほしいな?」


「あなたが子供の頃、この人は私のことが見えてるって分かってました」

「今までは漠然としか見えてなかったものが」

「あなたが成人したことで、私がはっきり見えるようになったんだと思います」


「成人したのを期にって・・・都合のいい話だよね」

「でも、君は僕にしか見えないんだよね」


「はい、あなたにしか見えません」

「あなたのご両親にも他の人にも誰にも私は見えません、私が実体化しないかぎり」

「だから、私と話してる時に誰かに見られたら頭がおかしな人って 思われますよ」


目の前にいる少女「守護天使」髪はピンクだし、着ている服もピンクだし、

羽もピンク・・・


(でも絵画なんかで見る天使って裸じゃないか?)

(服着てるって、そこからして、すでにおかしくないか?)

(・・・まあいいけど)


「君ってどうみても日本人じゃないよね」

「なんで普通に日本語しゃべってるの?」


「自慢じゃありませんけど、私は一応何ヶ国語でもしゃべれますよ」


「は〜すごいね・・・マルチリンガルってやつなんだ」

「ところで君、名前は?天使だってあるんだよね、名前」


「私、アリエラって言います」

「それが私の名前です・・・」


「素敵な名前だ・・・これからもよろしくねアリエラ」


つづく。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る