夢中になって読んだ、まさにエンターティメント!

 まずつかみが強い。キャプションで説明される状況設定の段階から、「どうなるんだ!?」と引き込まれ、読み始めると一話二千文字そこそこで状況が動き、引きがあり、「どうなるんだ!?」が継続して読む手を止められなくなってしまう。
 作者はなんとも巧みなエンターティナーであるなあと感心しながら読んで行くのだが、参加者が形成する派閥、ある組織の台頭、本性を現すやべーヤツなど二転三転する内に、ひときわ強い存在感を放っていた「彼」の真実が明らかにされ、物語の前提がひっくり返る……。いやあ、実にお見事。
 サクラさんの台詞から、この世界にはまだまだヤバい超常存在がたくさんいるようですが、物語はデスゲームとその参加者のみに絞られていて、八万文字強のコンパクトさにまとめられているのも、サクッと読めて嬉しい所です。
 なぜデスゲームに「クイズ」なのか? 「クイズ」の意義とは何か? と、その奥深さ・楽しさを解き明かしていく本作は、モチーフへの愛も感じられて好感触。とても素敵な物語でした。

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