探偵が二人?役割の違うW主人公の活躍を堪能してください!

夏合宿で起きた一つの殺人事件。その真相に迫るのが、今回の主人公である花純と秀平です。
花純は生真面目であんまり色恋沙汰には興味のない眼鏡っ娘。対する秀平は女の子なら誰でも大好き!と言わんばかりにちょっとチャラついた(笑)男の子です。

物語は花純と秀平それぞれの視点で進んでいく構成になっており、一つの事件をそれぞれの立場で追いかけていくことになります。最初は「へー探偵が二人なんて珍しいな」と読んでいたのですが、なんとこの二人、役割が違うのです!
化学部で研究熱心な花純は事件のトリックを。
女の子好きで社交的、かつフットワークの軽い秀平は事件の犯人を。
「ミステリーって謎解きは面白いけど、細かいことは忘れちゃうんだよね〜」なんて人はぜひこちらの作品を読んでみてください。花純パートを読む時は事件のトリックを、秀平パートを読む時は事件の犯人が誰なのかを意識して読んでみると事件の真相に迫れるかも?

ミステリーを読んでいて白けるのは、全くフラグのなかった人物が犯人になることと、チラッと出てきて誰からも忘れられていそうな物が犯行の決め手になることです。
ですがこちらの作品はミステリーパートも文句なし!トリックに関わる重要なアイテムは読者にもわかるように何度も繰り返し言及されていますし、作中で登場人物が何度も状況を整理してくれます。読者へのヒントも満遍なく散りばめられているので、しっかり手がかりを掴んで頭の中で組み立てればきちんと真相にたどり着ける構成になっているのが良作の証。
肝心のトリック自体も凝っていてとても面白かったです。「なぜ」その方法で殺人を犯したのか。「なぜ」密室の状況でなければならなかったのか。この辺りにもしっかりフォーカスしたトリックになっていて、解答編を読んだ時の昂揚感はミステリーならではの醍醐味でした。
最後まで読み切ってからコメント欄を読んだのですが、真相にたどり着いた人とあと一歩の所までいった人がチラホラいたので、ぜひこちらの作品が気になった方は自分の灰色の頭脳のキレを試してみてください。

ほんのり甘酸っぱい青春や懐かしい学生生活の日々を思い出しながら謎を解く。学園ミステリーのテーマに相応しい作品です!

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