熱に浮かされ、玉の汗が、冷たく落ちる。

子どもが、蟻の巣に水を流し込む。
そんな姿を、思い出した。

退廃の気配と耽美の気配が同居する、和のホラー。

数ある言葉の連なりに、読み手の胸の内もまた、一度、二度と乱され、惑わされていく。

幼子の戯《ぎ》の心は、まさに伸び盛り。

その稚拙さに用意された結末に、どこからか、笑みの気配を感じずにいられない。