ありがとう。あなたがいてくれることで、わたしは

本作の作者は、わたしが最も推している作家の一人です。
今作も最終回を迎えるまで、ためにため、読むのを我慢していた物語でした。

裏切られる事はありません。
保証いたします。


そもそも、デスゲームとは、なんなのでしょうか。
生死をかけて求めるものとは、しかも他人と争う中にある頂点とはなんなのでしょうか。
それがもつ役割とはいったいなんなのでしょうか。


わたしはこれを、「生と死が常に隣接する事実」に直面するための、とてもやさしいシミューレーターと見ています。


生と死は不可分です。その境界に立ち、今辛うじて生者であるわたしたちは、こちらから彼岸を見つめています。
きっと、此岸に片足を突っ込んだまま、此岸にいるのです。

死の領域に対し拒絶をするもよし。
渡航をもとめるもよし。
渡る時の心の準備をするもよし。

様々です。


わたくしごとですが、わたしもかつて彼岸に渡りかけた一人です。
別段望みはしませんでしたが、死は平等にいつかは訪れる物であり、拒絶しきれるものではありません。結果的に生き延びて、いま生きたくて、生きています。

本作の主人公は「死」を望む側の一人でした。
彼の思いを否定する気はありません。
そして、彼が辿った道を知るも、知らぬままで通り過ぎるも、あなたの自由です。


ですが、一言だけ。


ありがとう。あなたがいてくれることで、わたしはこのレビューを書いた意味を得られました。
心から、たくさんの人に届いて欲しい物語です。
どうぞ、画面を開いてください。



生きている内に、読んでください。

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