まだ過去ではない。けれど、記憶の中で曖昧にほどけていくあのとき

 2019年。あのときからいままで。
 まだ、過去ではない。けれど状況はどんどん変わっている。
「あのとき」の苛立ちや焦り、無力感、不安……それはもちろん疫病へのものもあれば、社会、隣人へのものもある……は、記憶の中で曖昧にほどけていく。

 目に見えぬ地底人の襲撃に怯え、予防グッズを買うために行列を作る。
 さまざまな「あのとき」が、フラッシュバックのように甦る。

 いま、読むべき物語。そしてこの状況が過去のものになったときにも、読み返したい記録。