マイノリティが一人、音を立てずに斃れる
- ★★★ Excellent!!!
悪気はなかった。本気じゃなかった。
そんなつもりはなかった。
まさか、そんな深刻に受け取るだなんて……
主人公は「背が低い」男性。
「たったそれだけ?」と思うかもしれない。
この作品における「まわり」も皆そう思っていた。
だから深く考えることもなく、彼をからかい、「向いていない」という理由で冷遇し、目を背けた。
そのひとつひとつが、積み重なれば人を殺せる毒であったとも知らずに。
マイノリティの活動はネット・コミュニティの影響もあって大きくなりつつある。けれども、それが適切に伝わっているかは疑問であるし、
何よりも「意識すらされない」マイノリティがいることも事実である。
諸手を挙げて、彼の行為や理屈に賛同することは出来ない。
ただ、恐らくは新聞の片隅にすら載らず、静かに忘れ去られていくであろうマイノリティの哀しみは、胸に迫るものがあった。