何の役にも立たないかもしれないものを懐で暖め続ける。


 僕はあいつらとは違う。

 まっすぐを向いて日々を生きてる。

 僕は真っ当だ。

 でも違わないのかもしれないし、ひょっとしたらあいつらの方が正しいのかも知れない。

 そんな思いが常に脳裏にかすめて、僕の顔を歪める。

 道を探す大学生の一幕。



 主人公のようなタイプの人は、なかなか大変だと思う。

 全力で楽しんでる時ですら、真顔の自分がちらほら覗いてくる。
 安易な解決を許さない高尚さと、その解決を一番に求める低俗さの間で揺れ動く。

 作中の出来事もまた、彼にとって将来の拠り所になるか、悩みのタネになるかは分からない。

 終始静かな作品ではあるものの、それ故に最後のシーンは感慨深いものになっている。

 悩み生きる人の実りとでも言おうか。