あなたに伝えたいことがあります。まだ間に合いますか?

 シルベ・トレガロンは公爵家の令嬢だ。
 そして人見知りだ。
 というかほとんど、人間嫌いで対人恐怖症に近い。
 読書が好きで勉強が好きで魔法が好き。あるいは、そういう自分を演じることで他人を遠ざけてきた。そしてそれでも一応はなんとかなった。一応公爵家だし。恵まれていたし。同時に疎まれてもいたけれど。
 王子の婚約者に選ばれた時も、否とは言えなかった。
 国王暗殺の疑いをかけられても、証拠を突き出して反論することもできなかった。
 気が弱いので。人間が苦手なので。
 でも今回はそれで何とかならなかった。なんか爆発して、なんか狐になっちゃって、なんか王子に拾われてしまった。
 だからすごく。困ってる。

 というお話。
 何にも言えない、ラーメンライスにライスがついていなくても店員を呼べないくらい何にも言えない主人公シルベが。さらに何にも言葉を発せない狐に変身してしまった際の騒動が描かれます。
 彼女は事態を解決できるのか。
 自分の気持ちを伝えられるのか。
 実は周りから相当に大事にかわいがられているシルベの、果てしない遠回りについてのお話です。

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