認識のユラギ、存在のユラギ、そして感情のユラギ

人の顔を識別できない主人公が、毎日姿の変わる女性「蝶々ユラギ」の存在によって、日常を揺るがされる物語です。

他の誰も識別できず、誰とも関係を結んでこなかった彼だからこそ、「蝶々ユラギ」を認識できる。
その構図がとても面白く、説得力を感じました。
我々は相手のどんな要素で以て個人を認識しているのか。そんな哲学的なことも考えました。

ユラギの変態するシーンの描写が圧巻です。
幻想的で、グロテスクで、非常に心惹かれました。
鮮烈なまでに純粋な恋の物語だと思います。