想像してみてください。もしも時候が神格であったとしたら?  

日本で暮らしている方々、そして日本の文化に興味がある方々。
この作品を読んで暦のことをもう少し詳しく知ってみませんか。

日本の四季は春夏秋冬だけで区切られているわけではありません。
農耕民族である日本人は古来より農作物を効率よく収穫するために、季節を時候として細かく分けて作業の時期を見定めてきました。

けれど想像してみてください。
もしその暦の時効が一癖も二癖もある神々だったとしたら……。

このお話では二十四節気七十二候を個性あふれるキャラクターとしてそれぞれに生き生きと立ち居振る舞わせることにより、美しくも苛烈な四季を鮮やかに描き出しています。

またメインキャラクターである玄鳥至と雀始巣が織りなす冒険劇やそれぞれの存在に隠された謎が絶妙なスパイスとなって読み手をストーリーに引き込んでいきます。

そして驚いたことに公開のタイミングをその時候に合わせているという芸の細やかさ。
このあたり作品に入れ込む本気度がひしひしと感じられます。

なにより映像が目に浮かぶような情景描写と軽やかに舞う展開の妙。

アニメ化されたらきっと面白いだろうなあ。

そんな風に思ってしまう、ぜひとも多くの皆様にご一読いただきたい作品です。







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