こちらのお話は古志加の母、福成売を主人公とした短編となります。
死後も母として古志加に寄り添い続け、如何に見守り、導いてきたか。
その軌跡を、
「あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜」
の各シーンを追いながら語られていきます。
彼女の人生は確かに幸に溢れたものではなかったかもしれません。
しかし、ただ一言、悲運の人と断じることは決してできません。
なぜならば、愛する娘と共に過ごした10年が。
何ものにも代え難い幸せなひと時として、彼女の心に、人生に、確かに刻まれているからです。
母としてやり遂げ、母としての幸せを得た女性の美しい一生に、敬意と賞賛を贈らずにはいられない。
こちらはそんな感動秘話です。
古志加の母刀自、福成売の視点から描かれた「あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜」のサイドストーリーです。
古志加の母刀自、福成売は、娘の古志加を残して殺されてしまいます。
死しても、愛しい娘のことが心配でたまらない、母刀自の福成売。
魂となっても、見守ることにしました。
古志加にふりかかるいろいろな危難。恋の悩み。
母刀自の福成売は、なんとか助けたいと望みますが、魂だけの彼女にできることは限られています。
それでもがんばる、母刀自の福成売。
母の愛をひしひしと感じてください。
無償の愛、とは、こういうものかもしれません。
同筆者様の
『あらたまの恋 ぬばたまの夢 〜未玉之戀 烏玉乃夢〜』
を本編とした、スピンオフ作品になります。
本編で非業の死を遂げてしまった、ヒロインの母親が物語の主人公。
亡くなった後もヒロインに寄り添い、思いもしなかった再開も果たす…本編では語られなかった、それでも強く印象に残る母親のその後を知れる物語です。
沢山の人に読んで欲しい作品ではありますが、この作品は本編の読了後じゃないとダメだと思います。
個人的には、どんな順番でも最後に繋がればOKな考え寄りではありますが、この物語だけは本編の理解が必須だと感じています。
その代わり、本編を読んだ後であれば、涙腺が壊れるくらいに感動できる作品であると、言い切れます。
是非、本編と合わせて読んで頂きたい物語です!!
私はリアル母とずっと関係が良くなかったので、子供は一生持たない覚悟でいました
そんな私がまさか、本編でこんなに母親らしい気持ちになるとは思ってもいませんでした
ひとりぼっちの古志加を母心で見守りたいと思うなんて
こちらの作品を読ませていただき、母というものがこれほど情深く尊いものだとは知らなかったので、心の底から驚きました
未だに母には複雑な思いがぬぐえませんし、人生が激変するようなこともありませんが
私でももしかしたら母になれるかもしれないと思わせていただけたことにはたいへん感謝しています
よく出来たフィクションには人の心を癒す力があるという、私の持論がある意味証明されたように思います
奈良時代、非業の死を遂げた母親が魂の姿となり、我が子を見守る物語です。
彼女は生前、辛い経験を重ねてきました。
だからこそ、魂となったことで自由を手に入れた彼女が、大切な人たちを見守り助けていく様子に、大きな救いを感じます。
「辛いことがあっても、やっぱり人生は素晴らしい!」そんな気持ちになれる作品です。
ぜひ多くの方に本作を読み、始終胸が温かくなる体験をしていただきたいのですが、実はこちらの作品は、本編読了の方向けの短編なのです。
本作を読んで欲しい。だからこそ、まずは本編を読んで欲しい。そう声を大にして叫びたい。そんな素敵な物語です。
本編ほかのおはなしを拝読した上で、レビューしております。
ネタバレは避けたいのですが、あらすじの二行目に、本作の主人公の非業の死、と記載がありますので、そのことだけは言及させていただきます。
さて。
非業の死をとげた、主人公、本編の主人公の母は、魂となります。
その、いまわの時の描写は本編にもありますが、本作にもあり、わたしは、自分がおなじ場合におこなった行動ととても似ていたから、辛くて、そのことで、主人公の娘と自分とが切り離せない想いになったものでした。
ふわふわと、うつしよを彷徨い、娘をみまもり、はたらきかける。とおく、とおくに、還る過程で。
いろいろなひとに、いろいろな想いを、魂ならではの方法でつたえ、そうして。
わたしが最初からずっと泣きながら読んでいるのはもう、自明ではあるのですが、身を捩って、机にあたまを打ち付けながら、わたしは、声をださずに、叫んだものです。
よかったね。
よかったね。
救いは、生命の有無と、無縁です。
からだのありなしと、関係がありません。
とおく、とおくで、救われた。
もう、美しく、ほほえましく、憧れであり、ただただ、こうべをたれたい。
ああ。おだやかなれ。
いのち。ぜんぶ、おだやかなれ。
ありがとうございました。