██-████

井澤文明

2023/3/██ ?????

 中学を卒業したばかりの金剛和臣と石黒祭は、馴染みの本屋で見つけた本をともに読んでいた。

 古びた表紙にも関わらず、本文はつい最近作られたものらしく、目次にはここ一ヶ月の日付が記されていた。内容は彼らがこの数週間で実際に体験したものが記されており、『誰か』が二人を観察して書いていたのだということが一目瞭然だった。

 そして、本の一番最後七番目の章には、彼らがいる三月十五日より少し先の未来の日付が書かれていた。

 ここに記されているのは、いわばが書き残した予言、あるいは警告のようなものだ。これから彼らの身に起きるかもしれない出来事。

 三月三日の██書店で起きた些細な事件から始まった、彼らへ忍び寄っていた魔の手は徐々に近づき、いよいよ直接危害を加えかねないところまで来ていた。

 三月十日に石黒祭の前に現れた姿見鏡から、██-████が急な接近を試みた事象から事態は悪化し、急遽両氏に対し干渉する次第となった。

 ██-████は本来は温厚で友好的な生命体であり、対象───主に人間───の願いを完遂する行動を見せる。しかし、自身の行動それを阻む、あるいは阻んだ者に異常な執着を見せ、嫌がらせをする性質があり危険である。

 三月三日に石黒祭と金剛和臣が██書店にて、██-████の仕事を阻んでしまったことから両氏に対して、執拗に嫌がらせをする行動を行なっていた。

 ██-████は自身の行動を阻んだ者に行う嫌がらせは個体によって異なり、また対象の困り具合・怖がり具合や年齢、さらには対象が行った阻害行動の度合いによっても期間や嫌がらせの度合いも変わる。

 姿見鏡で直接、姿を見せたことから今回の██-████は非常に危険であると考えられるため、両氏は直ちに███-████-████へ連絡することを





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最終編集日:2023年3月12日 10:14







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金剛:え、なにこれ?

石黒:テスト期間中に現実逃避して書いたやつ……。

金剛:これからっていう場面なのに完結してないじゃん。途中で切れてるし。

石黒:いや、ほんまそうなんやけど、無理やってん。初心者には色々と。伏線はれてへんし。

金剛:それと三章目? で殺されてるの、名前伏せ字になってるけど絶対この間、急に転校した真田くんじゃん。祭をいじめてた。

石黒:いや〜つい殺したくなっちゃって。

金剛:しかも途中でよくわからないギャグ? みたいなの挟んでるよね。筋肉の。

石黒:パワーって感じでええやろ? 結構気に入ってん。

金剛:こんなの書いてて期末の成績良かったのむかつく〜。



 これ以降、故███・████によって行われた記録に対し、両氏が特別な反応を示さなかったことから記憶の塗り替えが正常に行われたと判断。『アンラッキー7』の回収・削除が完了次第、石黒祭と金剛和臣の監視体制を終了する。

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最終更新:17 March 2023, 11:58

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██-████ 井澤文明 @neko_ramen

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