他人の悪意と内包する弱さ。裁かれるべきは?

人は誰しも弱さを抱えて苦悩する。
しかし小綺麗にまとまった社会の中で、人はいつしか自身の内に潜む弱さと対峙することが少なくなった。

その中で不器用に自分の弱さと闘い続ける主人公には、さながらエサウの元に帰る間際、神と相撲を取り続けたヤコブのような切実さを見出す。

闘いの果て主人公が河を渡り、そこに待ち受けていたものは、ヤコブにあった感動的な再会ではなく、底知れぬ他人からの悪意だった…

現代社会における闇を鋭く切り取った秀逸極まる作品。

着飾った虚構の姿形ではなく、生身の魂に触れる。

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