鈍い光

 乾いてもいる、渇いてもいる筋だてだ。主人公の覚束ない歩みに絡む二人目の登場人物は、客観的に考えれば一切同情に値しない。にもかかわらず、どうしてか犠牲者になったような錯覚を味わってしまう。

 必読本作。