ぼくのぬいぐるみさん

小柄宗

少年の熱情

ぼくには、たくさんの大切なぬいぐるみさんがあるんだ。


どの子も大切なぼくのぬいぐるみさん。


今まで一緒にぼくと過ごしてきた、大切な、大切な、おともだち。


ぬいぐるみさんと同じくらい、ぼくは君のことが好きになっちゃったみたい。


でも、ぼくが君に感じているのは、おともだちってことじゃないと思う。


きっと、ぼくたちはぬいぐるみさんよりも仲良くなれると思うんだ。


ぬいぐるみさんよりも、君に色んなことをしてあげられる。

ぬいぐるみさんよりも、君に多くのことを感じてもらえる。


ぼくが今までぬいぐるみさんとしてきたように、君と思い出を作りたいな。


ぬいぐるみさんみたいに、いつも楽しそうにしてほしい。

ぬいぐるみさんみたいに、いつも笑顔でぼくを見ていてほしい。

ぬいぐるみさんみたいに、いつまでもぼくと一緒にいてほしい。


うん……、恥ずかしいけれど、これが僕の気持ちなんだ。



ぼくはぬいぐるみさんが大好き。


柔らかくて、温かくて、


モフモフしていて、フサフサしていて、


可愛くて、優しくて、


ぬいぐるみさんは、いつも楽しそうに笑っている。



ぼくはぬいぐるみさんが大好き。


抱きしめても、撫でても、


一緒に寝ても、遊んでも、


話しかけても、笑いかけても、


ぬいぐるみさんは、いつも笑顔でぼくのことを見ていてくれる。



ぼくはぬいぐるみさんが大好き。


ぬいぐるみさんは、うるさく泣かない。


踏みつけても、殴っても、


突き刺しても、燃やしても、


抉っても、引きちぎっても、


ぬいぐるみさんは、いつも楽しそうに笑っている。



ぼくはぬいぐるみさんが大好き。


ぬいぐるみさんは醜く喚かない。


切り刻んでも、溺れさせても、


耳を削いでも、腕を折っても、


首を絞めても、目を潰しても、



ぬいぐるみさんは、いつも笑顔でぼくのことを見ていてくれる。




ぼくは君のことが大好き。


殴りたい、蹴りたい、


引きちぎりたい、抉りたい、


削ぎ落したい、潰したい、


突き刺したい、切り刻みたい。


ねえ。だから、なってよ。君もぼくの……


ぬいぐるみさんに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぼくのぬいぐるみさん 小柄宗 @syukitada

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ