恨み・怨み・憾み

酒に酔った帰りの車内で、着ぐるみパンダのタクシードライバーと遭遇する物語。
世間話。何気ない会話。それなのに、どこか逸る気持ち。
酔いが思考を妨げるも、話の内容は次第に深みを増していきます。
タクシーという身近な密室を舞台装置に従え、洗練されたホラーを一層引き立てていくその筆力が、流れるように美しい。
加速していく体感とパンダの心情とのシンクロ。
そこから次第に溢れ出す恐怖から狂気への変容。
ひょっとしたら、貴方の近くにいるのかもしれません。
心に秘めた、狂気のパンダが。

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