戦争は従軍看護婦が知っている

卓越した文章力で描写された戦争は、
戦争なんてしたくないと、人々に強く思わせる。
凄惨で無意味な戦争が、数年単位で続いている今だからこそ、読んで欲しい。

看護婦として戦禍に飛び込んでいった少女の胸のブローチは、彼女たちを闇へ闇へと追い込んだ。

そんな勇ましい少女のつましい初恋の瑞々しさ。

重症を負った兵士の手足などを切断するため、
負傷兵を押さえつけたのも看護婦です。
切り落とされた後の、筋肉や血管の断面図。
失血症にならないために、懸命に包帯を巻いた彼女たちの胸にあるのは、
ただ、目の前の人を助けるという信念だけ。

光を描くには、影を濃く、より一層深く描かなければなりません。
光という色はないからです。

そんな光を見るような、崇高な小説でした。


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