人を殴る行為は野蛮で社会的に許される行為ではありませんが、他方格闘技というスポーツとしても成立しています。それは格闘というものに魅力があるという矛盾の証左でもあるのかもしれません。本作は、そんな格闘技に魅了されて、倫理や道徳といった法規制の先にある危険な世界に身を投じる心理的過程を、一人の女性の目線を通じて描いた物語です。短編で終わるにはあまりに惜しい、しかし短編だからこそ描ける刹那の魅力が詰まった作品であると感じました。
プロレスがテレビ黎明期を支えたように、コロシアムが娯楽であったように、誰かが戦う姿は人を魅力します。洗練された文章、無駄のない1話完結なので、ぜひ一度巡り合ってもらいたいです。
もっと観客が出てくれば熱狂をより表現できたかもしれません。柔道などのタイマン競技好きなので、期待しています。
刃牙が好きならハマる、熱き殴り合いの世界
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(50文字)
短編ですが、カウンターパンチを一発食らったようなエンディングが好きになりました。戦う男たちの臨場感も増し増しです。憧れが形になったという、小気味良い作品だと思います。
キャラクターたちの内面描写が繊細で、彼らの感情や葛藤が手に取るように伝わってきます。また、独特の世界観が見事に構築されており、物語の深さと豊かさを感じました。非常にテンポも良く、最後まで楽しませてもらいました。
格闘技を批判するつもりはありませんが、格闘技と言えばどうしても荒々しい描写の印象を受けがちでした。しかしこの作品では主人公の心境も相まって美しく描かれていました。おすすめします。
試合を観戦する中で少女が何を思い、何に魅せられていくのか、という心情がしっかりと描かれています。一話完結で綺麗に纏められているのでおすすめです。
緊張感のある素晴らしい描写。ベアナックルボクシングの描写がリアルで、臨場感に溢れ、少女が目にした試合を読者に追体験させてくれます。人は暴力を遠ざけながら、それに恋焦がれている。その矛盾を感じさせてもらいました。
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