先に長編版であるTHE STRENGTHを読んでいたので、こちらは前日譚的な位置に感じました。こちらを気に入った方は長編版も読んでみてはいかがでしょうか?
いつの間にか物語の虜になりました……試合の臨場感、名も知らぬ女の子の心境の変化、そしていつの間にか虜になる様子……全てが美しい……きっと読み終えたときアナタも虜になりますよ手にとって言葉の意味をたしかめませんか?
名前もわからない、素性も分からない少女しかしその闘いへの熱意、一人の少女のオリジンとして、短いのに読み応えのある満点の作品でした。
嫌いだったはずの戦いの世界に引き込まれていく主人公の姿がとてもいい。試合の描写がとても丁寧で、イメージもしやすかったです。
暴力は嫌いだと言いながら最後には今の格闘技は生温いと言ってしまう主人公が好きです。それ程までに"見てしまった"と表現すればいいのでしょうか。光景がギラギラと眩しく、目が離せなかったと言うのが伝わって来ました。
サクッと読めるのに、満足感がすごくて美しい作品だと感じました。描写もわかりやすく、主人公の心情が容易に想像できました。
人を殴る行為は野蛮で社会的に許される行為ではありませんが、他方格闘技というスポーツとしても成立しています。それは格闘というものに魅力があるという矛盾の証左でもあるのかもしれません。本作は、そんな格闘技に魅了されて、倫理や道徳といった法規制の先にある危険な世界に身を投じる心理的過程を、一人の女性の目線を通じて描いた物語です。短編で終わるにはあまりに惜しい、しかし短編だからこそ描ける刹那の魅力が詰まった作品であると感じました。
プロレスがテレビ黎明期を支えたように、コロシアムが娯楽であったように、誰かが戦う姿は人を魅力します。洗練された文章、無駄のない1話完結なので、ぜひ一度巡り合ってもらいたいです。
もっと観客が出てくれば熱狂をより表現できたかもしれません。柔道などのタイマン競技好きなので、期待しています。
刃牙が好きならハマる、熱き殴り合いの世界
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