倫理や道徳の先にある魔性の世界

人を殴る行為は野蛮で社会的に許される行為ではありませんが、他方格闘技というスポーツとしても成立しています。それは格闘というものに魅力があるという矛盾の証左でもあるのかもしれません。
本作は、そんな格闘技に魅了されて、倫理や道徳といった法規制の先にある危険な世界に身を投じる心理的過程を、一人の女性の目線を通じて描いた物語です。短編で終わるにはあまりに惜しい、しかし短編だからこそ描ける刹那の魅力が詰まった作品であると感じました。