あん摩マッサージ指圧師のひとりごと
どっぐす
第1回 謝礼金に釣られて治験ボランティアに参加したら血を抜かれすぎて干からびてしまいツタンカーメン王になった話
参加した治験ボランティアの体験談です。
だいぶ昔の話なので一部記憶が怪しいですが、そんなに間違っていないはず。
◆治験ボランティアとは
ググれば出てくるので詳細は割愛しますが、簡単に言いますと治験ボランティアとは「国に医薬品を承認してもらうための臨床試験で被験体となること」です。
アルバイトではなくボランティア扱いで、もらえるお金も“給与”ではなく“謝礼”です。
◆カネに釣られました
私が治験ボランティアに参加したのは、まだ学生のころでした。
理由は”高額の謝礼金”です。カネです。
やはり学生をやっているとカネが足りんということで、何か短期でできるアルバイトはないだろうかと探していたところ、ネットで「治験ボランティアがおすすめ」「ジェネリック薬の治験なら比較的安全」とあり、やってみようと思った次第です。
具体的には、治験を常に募集しているサイトがある(探すとすぐに見つかります)のでそこに登録し、自分が参加できる治験を探し、申し込みます。
自分が申し込んだのは、
【ジェネリック薬の治験 2泊3日の入院×2回】
というものでした。
これ、期間の短さの割には謝礼金が異様に高い治験でした。たしか20万円近くだったような?
募集中の治験はサイトで一覧表示されているので、
「おー! これいいじゃん!!」
と思ってしまい、私は飛びついてしまいまったわけです。
おかげで大変な思いをするわけですが、それは後述。
◆説明会のようなものがある
人気のある治験はすぐに申し込みが殺到して埋まってしまうのですが、そのときは運よく滑り込め、めでたく申し込み完了となりました。
さあ、あとは入院予定日を待つばかり……というわけではありません。
まずは指定の医療機関にて、事前説明会と健康診断があります。
メールで指示のあった病院に向かいます。
治験参加予定者は、患者用とは別の入り口から入るよう指示がありました。ちょっと緊張して病院に入ることになります。
説明会は何回か開かれたようで、私が行ったときは指定の会議室に10人くらい来ていた気がします。当然ですが全員知らない人でした。
説明会では大まかなスケジュールの説明があり、
「ガンガン血を抜いていくので、その覚悟だけよろしく(意訳)」
というようなことを言われました。
ですがこのときはまだ、「( ´_ゝ`)フーン」と思うだけで危機感ゼロでございました。
◆健康診断がタダで受けられる!
説明会の後は健康診断です。
これは参加者が治験参加の条件を満たしているかどうかを調べているそうです。
私の参加した治験ボランティアでは身長・体重・血液検査などでした。
血液検査の結果は紙でくれまして、持ち帰ることができました。
検査項目は結構細かいです。考えようによってはタダで健康診断が受けられるということで、結構お得かもしれません。
ちなみに交通費も出ました。
◆「最高の週末の過ごし方」と豪語していた人も
私は健康診断の結果にも問題はなく、いよいよ入院&治験開始となったわけです。
入院の部屋は、大部屋でした。
だだっ広い部屋に、ベッドが二列でダーッと並べてあり、異様な景色でございました。
ベッドの数は全部で20ほどだったと記憶しています。
そのベッドで全員ゴロゴロしているのが基本形ということになります。
そこから、時間になったら投薬され、採血の時間になったら別室に呼び出されて血を抜かれ、メシの時間になったら食堂へ移動し……という感じです。
誰がどのベッドというのも決まっています。
ご近所さんとは自然と会話をする感じになりますが、無理やり話しかけるなオーラを出せば孤独に過ごすことも多分可能だと思います。
私の隣のおかたは20代と思われる若い男性でしたが、
「治験って最高の週末の過ごし方じゃない? だって寝てるだけでカネもらえるんだし」
とおっしゃっていました。
治験参加は基本的に4か月の間隔を開けなければならないルールがあるため、治験だけで生計を立てたりということはできません。
が、いつも土日に家でゴロゴロしているのなら、そのうち年に2~3回を治験に充てるというのはアリだろう、というお考えをお持ちだったようです。
◆「献血ほど血は抜かない」←本当?
で、いよいよ治験開始です。
私のときは朝一で薬を飲みました。参加者の半数は認可を目指すジェネリック薬、残りの半数は偽薬なのですが、自分がどちらなのかはもちろん知らされません。
そこから一定間隔で採血をしていきます。
採血はベッドの上ではなく別室でやります。参加者がゾロゾロ並んで若い医師?に採血してもらう光景はちょっと異様ですが、まあそれはすぐに慣れます。注射針もやたらぶっといですが、その痛みもまあすぐに慣れます。
問題は……
「こんなに血抜かれるのおおお!? 大丈夫ううう!?」
です。
いや、とにかく抜かれます。
びっくりするくらいの頻度で抜かれます。
記憶が正しければ、一時間おきとかの感覚で抜かれていた気がします。
最初は面白かったのですが、徐々にビビってまいります。
「こんなに抜いて大丈夫なん?」
と、他の参加者さんに聞いてしまいました。
すると、
「実は献血のときの量より少ないらしいから大丈夫じゃないかな」
とのことでした。
その後採血担当の先生に確認したら、
「それは本当」
とのこと。
採血回数は多いものの、一回当たりの量がさほどでもないらしいです。
ただ、
「今回の治験は採血回数が特に多いのでキツイと思うよ」
とも先生はおっしゃっていました。
前述のとおり、私の参加した治験は謝礼金が異様に多かったのですが、その理由が、
「3泊4日×2回の治験の内容を、2泊3日×2回に凝縮したものだからね」
とのことでした。どうりで抜かれまくりなわけです。
今だから笑い話ですが、本当に干からびてミイラになるのではないかと思うくらいの勢いでした。
治験初心者にはキツイものに参加してしまったようです……。
ちなみに、注射針の刺しすぎで肘が変色してきます。
刺す箇所は赤く、周りは青く。
緑はさすがにありませんが、見た人には怪しまれるであろうレベルで変色してきます。
私の隣のベッドの人は、前述のとおり治験参加のベテランさんだったわけですが、
「注射針の跡がしばらく消えないんで、職質されたときに結構ジロジロ見られるよ」
とのこと。
怖っ!
◆持ちこんだパソコンが壊れた! でも退屈はしない
採血が終わるとまたベッドに寝ているだけになるのですが、
「ずっと寝てるだけって、暇じゃね?」
そう思われるかたもいらっしゃるかもしれません。
ですが、私が参加したときはノートパソコンの持ち込みがOKでした。
いちおう無線LANにつなげられる部屋で、コンセントも自由に使用できるとのことだったので。私もノートパソコンを持ち込んでいました。
だからまあ暇はしないだろうとは思っていたのですが。
……パソコンが壊れた。
こんなことってあるんでしょうかね?
初日ですぐ壊れてしまいました。
ですが、そんな人でも暇しないように病院のほうも対策済みのようで。
漫画が別室にいっぱい用意してありました。
私はひたすらベルセルクを読んでいたと思います。暇はしなかったですね。
◆メシはうまかった
食事は食堂のようなところがあり、そこで全員揃って食べるような感じでした。
食べるのは弁当です。
見かけは普通にスーパーで売られてそうな弁当でしたが、かなり美味しかった記憶があります。
弁当を食堂に運んでくる係や、食後片づける係なども決められ、何やら合宿の気分。
◆夜は寝られない
嫌な予感はしていましたが。
夜は寝られません!!!!!!
昼間ずーっとベッドでゴロゴロしているので、夜になっても眠くならないのです。
夜中ずっと悶々とすることになります。
他の参加者も同じだったようで、もう諦めて夜中もパソコンをいじっていたり漫画を読んだりという人が多かったです。
個人的には『血抜かれすぎ問題』の次にキツかったのが、この『夜寝られない問題』でした。
2回の入院でかなりリズムを乱された感じがあり、戻すのに苦労しました。
◆またやりたいか? と聞かれたら……
もうやりたくありません。
いやー。まあ当時は学生でおカネも有難かったですし、後悔はしていませんが。
やっぱりちょっとキツかったです。
治験担当の先生が、最後、
「皆さん何の不満も言わずよく頑張ってくれました」
とおっしゃって頭を下げられていましたが、そこで拍手が起きたんですよね。(笑)
他の参加者さんも結構耐えてらしたのかな? と思ったり。
ただ、世に出る薬は必ず治験をパスしなければなりません。
そのお手伝いという意味では、社会への貢献でもあるのでしょう。
良い経験ではあったと思います。
もうやりたくありませんけど。
(大事なことなので二度言いました)
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