第8回 リラクゼーション店で1時間6,000円と2,980円の店にはどんな差があるのか、という話

今回は、患者さんからたまにいただく、

「駅前にあるようなリラクの店って1時間6,000円の店と2,980円の店があるけど、どんな違いがあるの?」

という質問についての回答をまとめてみようと思います。


どちらも業界的にはいわゆる『無資格マッサージ』というものだと思いますので、私の立場から語るのは本当はよくないのかもしれません。

が、わざわざ資格者に聞いてくるということは、あん摩マッサージ指圧師の目から見て両者の技術はどう見えているのかを知りたいのだと思います。同業の先生方にはご迷惑をおかけしますが、少し書いてみようと思います。




◆一昔前は1時間6,000円が相場……というよりも、唯一の価格帯だった


まず、一昔前までは1時間2,980円のリラク店は存在しませんでした。

マッサージと言えば10分1,000円、60分6,000円。それ以外にはなかったのです。


よって、1時間6,000円のリラクゼーションのほうが歴史は古いことになります。

特に『ラフィネ』『てもみん』などはかなり昔からありますよね?


その相場の常識を突き崩し、先駆者としてビジネスモデルとして確立したのは『りらく』(現在の『りらくる』)だと思います。社長YouTuberの竹之内氏が創業したリラクゼーションチェーンですね。


株式会社りらくの設立が2010年とありますので、本当に最近の話なのですよね。

それから10年ちょっとでここまで2,980円のリラク店が乱立しているわけですので、恐ろしい浸潤ぶりです。




◆平均レベルは明らかに違う


ではさっそく技術的な話に入ります。


私は普段から結構いろいろなところに施術を受けに行きます。

保健所登録されているあん摩マッサージ指圧の治療院だけでなく、リラク店や足ツボの店にも行きます。

なので、1時間6,000円の店と2,980円の店も、どちらも無数に行ったことがあります。


そのうえで、どうやらコレは傾向としてハッキリしてそうだなということは……


・6,000円の店は施術者のハズレがほぼない

・2,980円の店はハズレのときがある


このようなことを書くのは失礼だとは思うのですが、2,980円の店は施術者の当たりハズレが激しいです。おまけに手技の種類まで施術者によってバラバラだったりすることがあります。


一方、6,000円の店で「うわー、ハズレたな」となることはまずありません。手技もほぼ統一されており、「今回のマッサージは全然やり方が違うやん」となることもありません。


今までいろんな店に行きましたが、この傾向は間違いなくあります。




◆しかしトップの人たちのレベルはどちらも高い


しかしながら、安い店でも「この人妙に上手くないか?」と思う施術者に当たることがあります。それこそ、高い店の中でもトップの施術者並に。


これはあくまでも私の感覚ではありますが、上の人たち(この言い方もちょっとどうかとは思いますが)のレベルは、高い店も安い店も同じくらい高いと思います。

安い店にも施術を受けたあとに握手してもらいたくなるくらいの人はいました。




◆原因はスタッフの待遇や研修制度に?


2,980円の店において施術者の技術レベルにバラツキがある理由については、二つほど考えられると思います。


一つは、スタッフの待遇。

やはり2,980円の店は6,000円の店より落ちます。

これは有名な話なのでご存知のかたも多いと思いますが、2,980円の店のスタッフさんは、基本的に店と『雇用契約』を結んでいません。社会保険などに入れない『業務委託契約』です。人件費を下げて安値を実現しているためですね。


つまり、雇われた社員やアルバイトなどではなく、”個人事業主”が店から業務を請け負って施術している――という扱いになっているのです。技術の高い人や高くなった人が流出しやすい環境であると思われます。


もう一つは、研修制度の違い。

6,000円の店は研修制度がしっかりしています。

新人はすぐには施術させてもらえず、受付業務やベッドメイク、掃除をしながら先輩スタッフの施術を見て学び、営業時間外には居残り研修で技術を教えてもらい、じっくり時間をかけて仕上がった状態でデビューします。


しかし2,980円の店はそのような下積みがないところが多いです。下手すると技術的な研修すらも十分でないというところも。「え、本当ですか?」と言われそうですが、事実だと思います。

ある程度は経験のある人を採用するはずなので、さすがに経験ゼロの素人がいきなりお客さんに触るということはないと思います(思いたい)が、スタッフ間で手技が不揃いだったり、技術がイマイチなスタッフが現場に出る可能性は高まると思います。

(そのあたりが犠牲になるのは覚悟の上で実現した安値だと考えられますので、「だからダメだ」などということは申し上げません。ビジネスモデルがそうだというだけの話だと思います)




◆コスパがよいのは『2,980円の店でよい施術者を見つけて指名し続ける』?


以上、リラクゼーションで高い店と安い店の技術レベルについて、個人的な見解を説明させていただきました。

平均するとやはり高い店と安い店ではレベルが違いますが、安い店でも上手な施術者は高い店の施術者に劣らない技術があります。


と、いうことは。


『安い店で上手な施術者を見つけて、ずっとその人を指名すればいいんじゃないの?』


となりそうですよね?

たぶんそれ、正解です。


安い店でよい施術者を見つけたら、ぜひ指名をするとよいと思います。

指名料は店によりますが、だいたい200円~500円くらいです。それをプラスしても高い店より安いです。


これだ! と思う人に巡り会うまでが大変かもしれませんが、ご参考にどうぞ。

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