第11回 今年の柔道整復師の国家試験(第31回)の合格率が低かった件について 個人的な感想
今年の柔道整復師の国家試験『第31回柔道整復師国家試験』の合格率が49.6%となり、過去最低を記録しました。
(柔道整復師という資格をご存じないかたもいらっしゃるかもしれません。簡単に言えば整骨院や接骨院の先生が持っている東洋医学系の資格のことです。骨折・脱臼・捻挫・打撲などの応急処置を業とします)
今回の東洋医学系の資格試験の合格率。
あん摩マッサージ指圧師 88.6%
はり師 70.4%
きゅう師 71.7%
柔道整復師 49.6%
たしかに柔道整復師は低いですね。SNSでもかなり話題になっているようです。
今回はそれについて思うことを書いてみます。
◆原因として噂されているのは2月に有罪判決を受けた国家試験問題の漏洩事件
主な原因と言われているのは、今年2月に判決が出た国家試験問題の漏洩事件です。
柔道整復研修試験財団の元理事と元試験委員の2名が、去年3月に行われた柔道整復師の国家試験の内容を、専門学校の教員に事前に漏らしたとして柔道整復師法違反の罪で有罪判決を受けました。
動機は、裁判官の判決コメントを見るに「自分が講師を務めた専門学校の生徒を合格させたい」というもののようでした。
ちなみに罪に問われた元試験委員さんが勤務していた学校では、去年の新卒合格率は98.6%ありました。ところが漏洩事件発覚でその試験委員さんが退職しまして、その後におこなわれた今年の新卒合格率は66.9%。
この下がりようでは「漏洩の影響」があったのは確実と思われても仕方ないです。
そして内緒話は一部に漏れれば多数に漏れますので、校外にもかなりの範囲に漏れていたのかもしれません。
まあ、なので。
SNSなどでは「今までずっと漏洩があったんだろう」「けしからん」等の批判でにぎやかになっているわけです。
◆個人的な感想
個人的には、漏洩につきましてはもちろんダメだと思いますが、それよりも、
漏洩の影響がなくなったら合格率が50%を切るような試験って、試験問題が難しすぎるのでは? わざと?
という方向に頭が行ってしまうわけです。
そもそも医療系の国家試験って、あまり「落とすための試験」という感じではないのです。「学校できちんと学んだ人なら通しますよ」という試験です。
東洋医学系に限らず、看護師国家試験の今年の合格率は90.6%、医師も91.6%。卒業試験に受かればほぼ落ちません。
そんな中、柔道整復師はどうだったのか。近年の合格率を見てみます。
第21回 68.2%
第22回 75.3%
第23回 65.7%
第24回 64.4%
第25回 63.5%
第26回 58.4%
第27回 65.8%
第28回 64.5%
第29回 66.0%
第30回 62.9%
さすがに50%割れはないのですが、”近年ずっと低い”んですよ。
60%台ですと「学校できちんと学んだ人なら通しますよ」という感じではないです。わりとコロコロ落ちる印象のはずです。
何か意図があって柔道整復師だけ問題を難しくしている可能性はあるのかなあ……と思ってしまうわけです。
平成10年8月福岡地裁において『柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件』の判決が下され、柔道整復師の専門学校の新設が容易になりました。
以後学校が急増。それにともない柔道整復師も急増しています。
本来「骨折・脱臼・捻挫・打撲などの応急処置」をおこなうための国家資格が本当に8万人も必要なのか、接骨院や整骨院が本当に5万箇所も必要なのか、増えすぎて食えなくなってただの保険マッサージ屋になってしまっている店もかなりあるのではないか――
という疑問は私も前から持っていましたが、実はお
いずれにせよ、今回の件については国民の皆さんが柔道整復師という資格について考えてくれるよいきっかけになればよいなあとか、そんなことを思ってしまいます。
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